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Media Spice!
松木直也のマイイートロード
 *** No.29


京都・東山は八坂の塔の隣に立つ、
イタリアンレストラン「イル・ギオットーネ」。
予約のとれないレストランテとして注目され続けているが、
オーナーシェフの笹島保弘さんは
さまざまな京野菜を料理に使い分けている。
京野菜の達人に鎌倉の地野菜を食べてもらった。
初めての体験である。


 「イル・ギオットーネ」は関西ばかりではなく、すでに全国的な人気を誇る予約のとりにくいイタリアンレストランだ。僕がオーナーシェフの笹島保弘さんを知ったのは8年前のこと。当時「イル・パッパラルド」のシェフをしていた彼のところへ取材に行き料理をいただいた。今もあのときに食べた「牡蠣と京菜のパスタ」を思い出せる。牡蠣から出たジュをパスタにからませ旨味をとじこめ、それをいかすために京菜という野菜を使った発想にも驚かされた。そればかりではない、蕪とフォアグラとか、京の野菜をふんだんに取り入れた料理の数々に参ってしまった。あれから何度も食べているが、誰と行っても皆さん笹島シェフのファンになってしまうのである。
 そんな彼がまもなく(11月11日)東京丸の内エリアに誕生する東京ビルに「イル・ギオットーネ」東京店をオープンさせる。ならば、神奈川の食材を見てもらおうということで、今回の登場となったわけである。京都から深夜に横浜に入り、翌朝8時に鎌倉市農協連即売所へ行く。京野菜を熟知している笹島シェフが、鎌倉野菜をどう思うのだろうか? まずは、生産者内海昭浩さんのところで野菜の数々を手にした。
? 「京都にはない西洋野菜が並んでますね。京都は9割が和食のお店で、そのニーズからして京野菜が中心です。和が強いんです。しかし鎌倉は洋食文化が進んでいるのか、西洋野菜が多いんですね」ウキウキとした様子であった。「これ珍しいですね。初めて見ました」と葉がトンガっている野菜のプンタレッラを手にし匂いを嗅ぐ。
 「僕はもともと大阪ですから、京野菜は京都に住み慣れて普通に生活して美味しさが分かるようになりました。それからです、生産者のところへ遊びに行くようになって、食べてみてカルチャーショックでした。こういった経験から、イタリアンではどうか? と和食にはない新しい発想をするようになりました」笹島シェフの口調にどことなく謙虚さが伺える。のち逗子の小坪にある大辰水産で魚を。「逗子って暖かいイメージだったもので、こんなに魚種があるとは思っていませんでした。アジなんか身が締っていますね」
 半日ばかりの取材だったが、最後に東京に出すお店のことを伺った。
 「東京では京都と同じことをやろうとは思っていません。月のうち半分東京ですが、暮らしてみて、例えば、朝、築地に仕入れに行きそこで感じたこと、また出会う人たちから受けるインスピレーションを大事にして料理を作ってみたい。僕にとって東京や横浜、鎌倉だって新幹線で行ける外国なんです。東京で受けた刺激を京都にフィードバックすることもあるだろうし、今はすべてのことが凄く楽しみです」

  鎌倉地野菜を手にしながら「僕は野菜だけで一皿よりも肉や魚と対等な存在感が野菜にだせれば」と語った。また「味覚は記憶、新たな料理はふっと思い出す」とも。やはりそれは旬の食材を手にしたときだそうだ。鎌倉では盛んに東京から電車でどのくらいですかと質問。住んでみたい土地柄を感じていた。
小坪から葉山へもドライブ。写真にはないがアリス・ヴィラ・リゾートも見学した。その後横浜・本牧のDINING BAR KIKUCHIでお食事。


笹島保弘(ささじま やすひろ)さんプロフィール

1964年大阪生まれ。高校卒業後、サービスに魅せられ、レストランの世界へ。以後、関西のイタリア料理店で修業。24歳の若さで大阪・箕面市にあるラトゥールのシェフに。
27歳で京都のラヴィータ宝ヶ池シェフを経て、1996年、一躍彼の存在が世に知れ渡る事となった名店イル・パッパラルドが京都・東山にオープン。存在感、オリジナリティ、味わいのバランスといったどの点においても抜きん出た存在として認知される。フジテレビ『料理の鉄人』をはじめ、様々なテレビ番組、雑誌などのメディアでも活躍。
2002年12月に“京都発信”のイタリアンとして京都・東山にイル・ギオットーネを開店。さらに本年2005年11月11日は東京・丸の内の東京ビルに2店舗目がオープン。

http://www.ilghiottone.com



A.ルッコラ(キバナスズシロ)
「サラダはもちろんのこと、これは貝類系の出汁とめちゃめちゃ相性がいいんです。特に牡蠣と煮詰めたソースは美味しいですね」
B.ミニダイコン
「京都は聖護院大根が有名ですが、こんな小さな(3センチぐらい)ダイコンならそのままのかたちをいかしてピクルスにします。おいしいでしょうね」
C.ミニキャロット
「京都では若いニンジンの葉をお浸しや和え物に使いますがこれは柔らかく火を通して生ハムを巻いて、生ハムのくずと鶏の出汁でとったスープでたきます」
D.クロキャベツ(アスパラガスキャベツ)
色が濃くビタミン・ミネラルが豊富。湯通しし、料理の添え物等に利用。「これは蒸し焼きの豚肉にとても合います。またミネストローネの具材としても」
E.ラディッシュ(二十日大根)
欧米から導入された大根。塩やチーズを添えてオードブルに。
「京都の庚申大根に似ていますね。これは生のまま生ハムとかを巻いてパリッと食べます」
F.セニョリータ
「ピーマンの一種だと思いますが、こんなの初めてみました。これはさっそく京都に持ち帰ります。輪にスライスして、何かに使ってみます」
G.ポワローネギ
「これは炭火焼きですね。組み合わせは鶏肉です。この相性の良さは焼き鳥で証明されてます。ローズマリーを添えればイタリアンです」
H.四角豆
日本では沖縄や九州で栽培されている。
「これは淡白な味で、僕なら蒸して塩でまぶして食べます。若いさやならさっと茹でてサラダや和え物でもいい」
I.セルリアック(ネセルリ)
セロリと同じ野生種から発達した変種。
「ピュレにしてジャガイモと混ぜると酸味がついて美味しくなります。これはホタテやオマールと相性がいい」
J.フェンネル(ういきょう)
「あじ、いわしなどの青い魚にこれは合います。僕なら青い魚を炒めてトマトを混ぜてフェンネルと柑橘系で決めてみます。ナッツも相性がいい」
K.プンタレッラ
「よくこう言ったイタリア野菜が鎌倉にありますね。これは凄く苦いんですよ。サザエのキモとか灰汁のあるもの同士の相性もいいんです」
L.小カブ
「僕は聖護院蕪をすりおろして、卵白でメレンゲ状にしたかぶら蒸しをよく作ります。フォアグラとの相性が抜群。葉っぱは別に浅漬けにします」
M.バジル
「甘い香りと独特の苦味、イタリア語はバジリコ。いろいろな料理に用いますが、トマトとの相性は凄くいい。イタリア料理にはかかせないスパイス」
チシャトゥ(山くらげ)
「実物は初めて見ました。スライスしてホタテなんかとの相性がいいでしょうね。京都は日本料理に使う野菜が9割ですから、こんな野菜はあるわけがない」
O.コールラビ
コールはキャベツを意味しラビはカブ。キャベツの仲間。肥大した茎を食用とします。水分が多く身がしまっている。
「これは茎をスライスしてサラダ」



JR鎌倉駅から歩いて10分とかからないところに鎌倉市
農協連即売所がある。朝8時半ごろが狙い目。

   


DINING BAR KIKUCHI

今回案内役をしてくれたのが本牧にあるDINING BAR KIKUCHIのオーナー菊池高夫さん。週に3回は朝早く鎌倉や小坪へ。食材にこだわったお店。隠れ家的に利用するお客が多い。鎌倉地野菜のサラダや小坪のサザエなどが人気メニュー。笹島シェフもサラダに感心。塩で好みの味加減にしてからオリーブオイルを適量にていただく。

神奈川県横浜市中区本牧町2-312
TEL.045-622-6650
<営業時間>
17:00〜23:00(L.O.22:30)
<定休日>
木曜(宴会、パーティの予約の場合は営業)
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