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Media Spice!
松木直也のマイイートロード
 *** No.36


今回はフランスからのお客さまです。
ジュリア・サミュさんは「旅」と「食べる」をミックスしてオーダーメイドな旅行を目的とする会社「トラベルフード」をマルセイユに作りました。
味をめぐる旅とはどんな旅行か? それは南フランス、イタリア、スペイン、北アフリカなど地中海を中心に、例えば港町なら漁師の船に乗って釣りをして、釣った魚でお料理して……。
これはほんの一例。もちろん日本からも参加できますよ。


Photographs by Yukihito Hosono
    ジュリア・サミュさんの実家でもある『オーヴェルジュ・ラ・フニエール』はエクサン・プロヴァンスからアプト方面に約30キロ北上したルールマランという村にあります。リュベロン山地の麓の広大な敷地、それはそれは自然環境に恵まれた美しいところ。おばあさんの代からレストランを始め、父のギーさんはワインにうるさい経営者、母のレンヌさんはフランスを代表する女性シェフ。「私は長女でほとんど厨房のなかで生まれ育った環境といっていいかな。大体1年に2回、1週間の家族旅行も食材の生産者まわりとか、昼も夜も同業者を見て勉強するというような旅でしたね」とジュリアさん。
 高校卒業後、パリへ。家業を継ぐためにレストランマネジメントを勉強するが、これは自分の進む道とは違うと大学に入り直した。ジャーナリズムの基礎を勉強し、2000年にパリでムーブメントとなった『フーディング』(権威的見地にあるガストロノミー、美食文化を庶民のものにすべく、高いところにあるものを一度ばらして、みんなで検証していくというこころみ)のスタッフと出逢い、その一員となる。「星や点数で評価するのではなく、明日行きたいと思うレストランのガイドブックの制作とイベントをやっています」。
 イベントはフーディング週間と題し、例えばパリのとある地下鉄の駅周辺にマルシェや屋台が並び、有名シェフが参加する。また、トラックを使って移動レストランを作り、パリのあちこちでピザやローストチキンを振る舞う。で、これを料理するのが3ッ星のシェフだったりするのだ。
 ジュリアさんは現在もフーディングのスタッフであり、また雑誌に記事を書くフード・ジャーナリストだが、妹のナディアさんと作った会社「トラベルフード」も順調だ。マルセイユにある。
「子供の頃から一般の人が行けない生産者などをたくさん見てきて、サミュの娘というコネクションがあります。また食材のリサーチなどのこれまでの蓄積もあり、味と食材、料理をテーマにしたスペシャルな旅を楽しんでもらうために会社を作りました。地中海周辺の、自分たちがこれまで行ったフィレンツェ、バルセロナ、イスタンブール、もちろんマルセイユ、アルプなどなど、その街をテーマにして、その街の食の深いところをツアーしています」。
 これまで実行したツアーの内容をいくつかお聞きした。
 パリ発30名の2日間の社員旅行、テーマは『マルセイユとカバンヌ(港にある海から直接入れる伝統的な海の家)』。マルセイユの空港からボートでカランクという入り江へ行って、そこからカバンヌに。貸し切りで、マルセイユの有名シェフを招いて、高級バーベキューをやり、翌日はマルセイユの伝統的な漁を体験。(カラスミを作るボラ釣りで、置き網でやる)
 また、ニューヨークから来たツーリストたちとトリュフ狩り、バルセロナでは生ハム、これ以外にもオリーブ、もちろんワインなどはお手の物だ。
「フランスは伝統的なものが割としつこく残っています(笑)。今はそういうのに対して回帰する傾向にありますね。イタリアは頑固なくらい残っています」
 ジュリアさんはプランニングを担当し、ナディアさんがお客さんを案内する。
「本当に美味しいものを作っている人のところに行って手ほどきしてもらうと、食の記憶が違いますよね。漁師が苦労してボラを釣って、裂いて、なかから出して、干しているのを見たら、それは真空パックのカラスミだけしか知らない人とは頭に刻まれるものがまるで違う。それから、漁師との出逢いなど、やっぱり『食』って人の出逢いが凄く大事ですよね。スペシャリストたちに根付いている『本物』を知ると食べることの楽しさが違ってきます。それをこの旅行を通じて味わってほしいです」。

Julia SAMMUT ジュリア・サミュさんプロフィール

フランスのエクサン・プロヴァンス生まれ。
パリのホテル・レストランマネジメントスクール卒業後、大学で法律を学ぶ。
その後フリーのフード・ジャーナリストに。
実家はミュシュラン・ガイドブックで一ッ星の『オーヴェルジュ・ラ・フニエール』。

通訳:勅使河原加奈子


スペイン・バルセロナ/
スペインといえば生ハム。最高のものはどんぐりだけで飼育された豚で作られたハモン・デ・ベジョータ。最古の原産地がサラマンカ地方の高地村落にあり、なかでもギフエロが有名。
トルコ・イスンタンブール/
サミュ家にとって大事なのが地中海。なぜならば父方のルーツはマルタ、シシリアの家系でチェニジアの血も流れている。イスタンブールはアジアとヨーロッパの食文化に影響をもたらした拠点でもある。
オリーブはヨーロッパの各地で見られるが、フードトラベルでは季節により摘むところや、また工場での工程を見学。その後は美味しいワインとの食事が用意されている。


ジュリアさん、行く先々で撮影。
日本の食文化にも、もちろん興味がある。温泉宿のしっかりとした朝ご飯、様式美などに感激。我々の日本もトラベルフードで行きたいところたくさんありますよ。最近はそんな高くない、いい宿が増えてきましたし、松木からは伊豆高原なんかおすすめです。


ポルトガルの田舎町は哀愁に満ちている。ファドを聴きながらポルトワインとタラ料理が名物の(タラ料理だけで300種あるとか)漁村を訪ねました。

フランス・マルセイユのカランク。これがカバンヌ(港にある海から直接入れる伝統的な海の家)。バーベキューしたのね。


ワインは父のギーさんがとても詳しくルールマラン村を訪ねたときにでも近くの畑や生産者を案内してくれた。そこで作られたワインを畑を見ながら味わう、これは感激があります。




日本から現地までの往復路の航空は自分で予約する。オーダーメイドばかりではなくジュリアさんたちが作ったトラベル・フーディングタウンコースがいくつかあり、それはマルセイユを木曜日に出て、日曜日の夜に帰ってくるというコースで900ユーロから。
オーダーメイドについても詳しくはホームページで。(英語、フランス語のみ)

www.travelfood.fr


 
 

 ●横浜市金沢区の小柴漁港。小型底曳き網によるシャコが水揚げの中心で近辺のお寿司屋さんで捕りたての「小柴のシャコ」を堪能。

 ●神奈川県逗子市小坪漁港。魚屋さんで漁りたてを購入。そののちイタリアン「ピッコロバーゾ」でお食事を。
   TEL.0467-24-5858

 ●甲州ワイナリー巡り。以前紹介したミサワワイナリーへ。見学のちレストラン「彩」でワインとお食事を楽しむ。
   山梨県北杜市明野町上手11984-1
   TEL.0551-25-4487
 
 

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