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松木直也のマイイートロード
***No.59

大船で人気のパン屋さん『カルヴァ』の田中聡さんと
「“パンでパーティ”を創作する」

ホームパーティに「パン」の存在は欠かせない。
でも、それは前菜やおつまみなど、いわゆる“脇役”的な役割を担うことがほとんどである。
日本のパンはおいしくなっている。我々には、もっとおいしいパンの楽しみ方があるのでは?
そこで今回は、ブーランジュリー(パン屋さん)『カルヴァ』の田中聡シェフに、
これからのパンとの付き合い方について、いろいろご提案いただきました。

写真:石井裕之

大船で人気のパン屋さん『カルヴァ』の田中聡さん

 JR大船駅東口から歩いて3分ほどのところにあるブーランジュリー『カルヴァ』。オーナーシェフの田中聡さんは、1974年生まれ、36歳の若き料理人だ。

 高校を卒業後、パンの道に進み、都内のホテルで修業。その後、単身渡仏して語学とパンづくりを学び、帰国後は三國清三シェフが大型店舗として打って出た『ミクニ・マルノウチ』のシェフ・ブーランジェ(パン部門責任者)として6年半腕を磨いた。09年、満を持して地元・大船に『カルヴァ』をオープン。こぢんまりとした、温かみのあるヨーロッパ調の店構えで、ガラス窓から覗ける店内には、顔色のいいさまざまなパンたちが並ぶ。
  そのなかでも、田中さんの人柄や、パンづくりに対する姿勢をひときわ物語っているのが、自家製のリンゴ酵母のみを使ってつくる「ティエリー」と、野菜をふんだんに使った「スキャッチャータ」だ。

 「ティエリー」は、『ミクニ・マルノウチ』での修業時代、ボルドーの2ツ星レストラン『シャトー・コルディアン・バージュ』のティエリー・マルクスさんから直々に教わったもの。

 パンへのこだわりが深く、レストランとは別にブーランジュリーも開くマルクスさん。その酵母の配合を教えてもらうのだから、「自分も同じようにおいしいパンがつくれるにちがいない」。田中さんはそう考えた。ところが、そんな期待とは裏腹に、ほどなくして酵母種が死んでしまう。

「自分は教わった通りにやった。配合も合っている。寝かせる時間も合っている。いったい何がいけなかったのか?」

 そこから、田中さんの勉強の日々が始まる。まずは本を読み漁り、分からないことは先輩に聞くなどして酵母のことを学ぶ。そして、1年間の試行錯誤の末、自分なりの方法でマルクスさんの酵母種を再現することに成功した。

「天然酵母は生き物=B環境が変われば、成長の仕方も変わります。だから、マルクスさんに教わった通りにやってもダメ。同じ酵母をつくるにしても、フランスでパンをつくるマルクスさんにはマルクスさんのやり方があるし、日本でパンをつくる僕には僕のやり方がある。パンの奥深さをあらためて思い知らされました」と田中さん。

 続いて、「スキャッチャータ」は、惣菜系のパンなのだが、とにかく色鮮やかで見ているだけでも楽しい。

「料理やお菓子っていろんな色があって、見た目がとても華やかですが、パンは見た目が非常に難しいんです。基本的に焼き色(茶色)ですから。なんとかパンも華やかにできないだろうか?と考えて辿り着いたのが、『パンに野菜や果物を使ったっていいじゃないか』という結論でした。パンのいいところは、具材との組み合わせ次第で惣菜系のものにもなるし、デザート系のものにもなるということ。変幻自在ですよ」

 そこで田中さんに、「ならば、絶対にホームパーティで活躍する、家庭でつくれるパンと具材の組み合わせを考えてください」とお願いした。

 ちなみに今回は、10月20日にニューアルバムを発売し、11月にはワンマンライブも決定するなど、今ノリにノっているジャズバンド『ジルデコイ・アソシエーション(通称ジルデコ)』のヴォーカル、chihiRoさんをパンづくりにお誘いした。

  chihiRoさんは神奈川県ご出身。おいしい料理を食べるのは「大好き」だが、料理をつくるのは「……。」らしい。そんなchihiRoさんに、田中さんはどのようにして料理を教えるのだろう?

  まずは、バゲットを食べやすいサイズに切ったり、野菜を軽く焼いたりと、簡単な準備(詳しくは以下ページ参照)を済ませ、いよいよ調理スタート。ところが、田中さんはここで、思いもよらぬことを口にした。

「バゲットにお好みのソースをぬって、その上に、好きな具材を何種類でも好きなだけ盛りつけてください」

 説明は以上。つまり完全フリースタイル。さすがに、chihiRoさんも少し戸惑った様子だったが、いざつくり始めると、どんどん夢中になり、次から次へと思い思いのパンを完成させていく。そして、アーティストの血が騒ぐのだろう、自発的に「街」、「顔」、「電話」など、自分の作品≠ノタイトルまでつけてくださり、これには「料理人には絶対思いつかない発想です!」と田中さんが驚き、「そうやって曲のタイトルも決められれば……」とマネージャーさんがつぶやく。

 chihiRoさんは5品のパンを完成させ、納得の様子。ただ、いくら楽しくてもおいしくなければ意味がない。ということで、自分でつくったパンを自分で試食してもらった。

  沈黙ののち、大きく目を見開いてシェフのほうを見るchihiRoさん。

「おいしい! なんで? 好き勝手盛りつけたのに…。コレ凄いですね! ライブのあとの打ち上げでもやりたい」と、この日一番の笑顔で語ってくれた。

「今回、僕が考えたのは、どんな組み合わせがもっともおいしいか?≠ナはなく、どんな組み合わせだったら失敗がないか?≠ニいうこと。今日用意したものであれば、どんな風に組み合わせても無茶苦茶なことにはなりません。やっぱりホームパーティだったら、決まったレシピをつくってふるまうより、準備だけしておいて、ゲストに好きなようにつくってもらったほうが楽しいじゃないですか。さらに、それで『料理は楽しいもの』って思ってもらえれば、言うことなしです」と田中さん。

 田中さんのパンには大人や子ども、料理の得意・不得意を抜きにして、その場にいる人をシアワセにする不思議な力がある。田中さんもエラいが、やっぱりパンはエラい!

  さて、今年もまもなくパーティシーズン到来。皆さんも、パーティでのパンとの付き合い方、見つめ直してみてはいかがかな?パンって、パーティの強力な味方かも…。


PROFILE
田中聡さん
1974年神奈川県生まれ。1993年東京プリンスホテル製菓部製パン課に配属。1998年に渡仏し、ノルマンディー地方で語学を学び、サヴォワ地方シャモニーのパン菓子店で修業。1999年、『ミクニ・マルノウチ』のオープンからシェフ・ブーランジェとして腕を振るい、以後8年間ミクニグループのベーカリー事業を支える。2009年、大船にブーランジュリー『カルヴァ』をオープン。オーナーシェフとなる。

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パーティのシアワセは準備から


パーティには準備がつきもの。今回は、バゲットを切ったり、野菜を焼いたり揚げたりと多少の手間はかかるが、ムズかしい作業は一切ないので、普段あまり料理をやらないという方も、ぜひ挑戦していただきたい。田中シェフは「野菜を切るのが面倒な人は、最初からスライスされている冷凍の野菜を使っても全然いいですよ」と。「大切なのは、どんな形であれ『やってみよう!』とアクションを起こすこと。それで料理が楽しいと思ってもらえれば、自ずと食材のことにも興味が湧くはずですから」。パーティって、台所にこれから食べるぞ!飲むぞ!という材料が並ぶとワクワクしてくる。パーティの楽しさは、準備からすでに始まっているのです。
バゲットはオーブンで表面が軽く色づくぐらいまで焼いておく。   カボチャ、ニンジン、ブロッコリー、黄パプリカは塩・コショウしてオリーブオイルをかけて焼く。
バゲットはオーブンで表面が軽く色づくぐらいまで焼いておく。バーナーがあれば、焼いたあと表面に軽く焦げ目をつける。   カボチャ、ニンジン、ブロッコリー、黄パプリカは塩・コショウしてオリーブオイルをかけて焼く。バーナーがあれば、焼いたあと表面に軽く焦げ目をつける。

バーナーはパーティの必需品なり
パーティの準備をするうえで、バーナーの存在はかなり心強い。「ちょっとバーナーで表面を焦がすだけで、野菜に表情が出て、見た目が格段にアップします」と田中さん。また、バゲットの表面をバーナーで焦がせば、ソースがパンに染みるのを防げる。パーティ上級者を目指すなら、バーナーはぜひゲットしたい。ホームセンターに売ってます。
バーナーはパーティの必需品なり

パーティのシアワセは準備から

・レンコン ゴボウ サツマイモ:好みの大きさに切って、油で揚げよう。
・苺は刻んで粉糖と混ぜてグランマニエをたらせば、“なんちゃってジャム”に。
※ 苺とフォアグラはバゲットには合わないので、ブリオッシュ食パンを使おう。
・いちじくジャム:フォアグラと相性バツグン。
・パセリ ピンクペッパー:粗びき塩コショウなどのスパイスや調味料は、食べる直前のアクセントに。
・フォアグラのテリーヌ:フランスのクリスマスのご馳走。最重要人物のおもてなしのとき限定。
・ジャガイモ:皮付きのままローストして、食べやすいサイズに。
・ソーセージ:ホットドッグ用のものを1センチ弱程度の大きさに。
・ザワークラウト:自分で漬けても、漬かったものを買ってもOK。
ベースとなるソースは、トマトソースとベシャメルソースを用意。 いずれもスーパーなどに売ってるものでOK。


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フリースタイルで楽しんじゃう!


さあ、ここからが本番。いよいよ盛り付け。「お好きなように」と言われても、
これだけ具材に種類があると「どれにしよっかな?」と迷う楽しさがあります。
自分らしい、オリジナルのパンをおつくりください。

chihiRoさん   chihiRoさん作の「顔」
chihiRoさん作の「顔」
ソーセ?ジを目、レンコンをまつ毛、にんじんを口、そしてローズマリーを髪にみたてた一品。もはや顔にしか見えぬ。

 

  chihiRoさん作の「電話」
chihiRoさん作の「電話」
田中さんが「アン・ビリーバブル!」と絶賛した大作。レンコンがダイヤル、ゴボウが受話器になってます。分っかるかなー?
フリースタイルで楽しんじゃう!
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チーズは、とろけるチーズ&粉チーズをダブル使用

焼き上がったら、まずオリーブオイルでコーティング

意外なモノで、おいしさアップ!

チーズは、とろけるチーズ&粉チーズをダブル使用
盛り付けが完了したら、オーブンで焼く前に野菜の上に刻んだとろけるチーズをかける。これは、焼くときに盛り付けが崩れないようにするため。ただし、とろけるチーズだけではチーズの香りが弱いので、必ず粉チーズも一緒に使用しよう。とろけるチーズ=接着用、粉チーズ=風味用。これ鉄則。
焼き上がったら、まずオリーブオイルでコーティング
焼きたてのときはチーズがとろけていても、時間が経てば経つほどに固まってしまう。特に気温が低く乾燥する冬は、あっという間。そこで、パンが焼き上がったら、まずはとけている状態のチーズにオリーブオイルをかけて、チーズが固まるのを防ごう。
意外なモノで、おいしさアップ!
食べる前に、調味料で味を整えよう。使用するのは、トマトケチャップ、バジルソース、ゴマ油、七味唐辛子。「いやいやッ、最後の2つオカシイやん!?」と思った方、多かろうと思いますが、これが誠によく合います。特に、ゴボウなど根菜系と相性バツグン。

Point!
フリースタイルで楽しんじゃう!

フリースタイルで楽しんじゃう!
田中さんがつくるとこんな感じ。「特にルールはありませんが、強いて言うなら、
例えばトマトソースにはパプリカとか、同じ季節に旬を迎えるもの同士は
やっぱり相性がいいですね」。
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「ジルデコ」がニューアルバムをリリース!
ジルデコ パンづくりでただならぬ才能を発揮してくれたchihiRoさんがヴォーカルを務める「ジルデコ」の4thアルバム『ジルデコ4 〜ugly beauty〜』が、10月20日に発売! 前作『ジルデコIII』がHMV渋谷の邦楽インディーズ・ランキングで3週に亘り1位を獲得。iTunes Store限定で発表したミニアルバムやライブ音源もiTuneのジャズチャートのアルバム・ランキングで1位を獲得するなど、勢いにのる「ジルデコ」。要チェックです!
\2,800(税込) 【オフィシャルHP】www.jilldecoy.com

〜11月にはワンマンライブもあります〜
ワンマンLIVE「ugly beauty」 〜『ジルデコ4』リリースLIVE!〜
<日程>11月12日(金)18:30開場/19:30開演
<会場>渋谷 CLUB QUATTRO
(東京都渋谷区宇田川町32-13『クアトロ・パルコ4』5F)
<チケット料金>\4,000(税込/ドリンク代別/整理番号付)
※3歳以上チケット必要
問 ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999
http://www.red-hot.ne.jp/
ワンマンLIVE「ugly beauty」 〜『ジルデコ4』リリースLIVE!〜


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ブーランジュリー『カルヴァ』
ブーランジュリー『カルヴァ』

田中聡さんの父親はケーキ職人で、田中さんが生まれた1974年に「エミール」というお店を大船にオープン。2008年に34年の歴史に幕を閉じ、惜しまれながら閉店を迎えたが、その意志を継ぐようにして誕生したのが、この『カルヴァ』。お店には“PLACE EMIRS”と書かれたアドレスプレートが貼られている。田中さんは「ケーキ職人にはなりたくなかった。長男ってそんなもんですよ(笑)。でも、弟がケーキ職人です」と照れくさそうに語るが、「地元の人たちに喜んでもらいたい」という熱い想いは、父から息子たちへと、しっかりと受け継がれている。

カルヴァ
<住所>神奈川県鎌倉市大船1-12-18 エミールビル1F
<電話>0467-45-6260 <営業時間>7:30〜21:00
<定休日>火曜日、第三水曜日 http://www.calva.jp/


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