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クリエイターのインテリア
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上から左から
●リビングの壁にそって長いソファを作り付けた。台はセメントで。座り幅を広くして寝そべられるようにしたのもアナイスさんのアイディア。●黒のテーブルは手作り。アメリカから来たワンちゃんには英語で話しかける。●人気のカウンターキッチン。最近ではよく見られるが、セメントで作る特注カウンターは当時めずらしかった。●座り心地は抜群というミッド・センチュリーの椅子をすっきりした部屋のアクセントに。●額に入れて並べたイラストはアナイスさんの姉が地下鉄のなかでスケッチしたもの。途中で終わっているのはその人が下車してしまったため。●今は亡きジョンさんの母は画家だった。その彼女の作品。●中庭から光が入って気持ちいいキッチン。

 今回ご紹介するジョンさんはワシントン生まれのニューヨーク育ち。明るくてパワフル、周囲を決して退屈させないノリの良さが印象的な人柄だ。パリに住んで7年。アメリカで出会った奥さまのアナイスさんが長女のビビちゃんを出産する機会にパリに移住することになった。

 ジョンはアメリカにいた時から男性誌「GQ US」のフリージャーナリストとして、スターのポートレートや文学サロンといったコーナーを手がけている。今では完璧なフランス語を操り仕事もこなせるジョン。先日はフランスのTV番組用に、自らがシナリオを書き、‘ヘンな外人’ごときコメディアンとして自作自演したばかり。彼のキャラクターをよく知るフランス人スタッフから「自分で演じてみたら」とすすめられたのだとか。

 彼の自宅のある場所は、パリ19区のなかでも庶民的、いわゆる下町だが、最近はパリの再開発地区としても注目される地区である。彼の住むロフトが建つ場所も20世紀前半は村の女たちが集まる公共洗濯場だった。当時の写真が集合住宅の玄関先に飾られている。のちには、香辛料を保存する倉庫だった時期もある。7年ほど前、その地上階にあたる土地を夫妻は購入することになった。当時はトラックが目の前を通る、小石だらけのさら地に近い状態。そこに自分たちの住まいを新築することにした。

 建築のデザインを作ったのはアナイスさん。高い天井を生かしたロフト式で1階から2階へとスムーズな動線を描いた空間は当初からの理想。それに建物の裏側に作った中庭は小さいけれど自然光が入って心地良い。そのすぐそばにオープン・キッチンを作ったのは大正解だった。玄関から入ってきたお客さんは、「ふつうはリビングのソファにむかって入ってくるものなのに、みんなキッチンのカウンター・バーに直行するんです」(アナイスさん)。

 フリーランスとして自宅で仕事をするジョンも、自分のオフィスとして1部屋を持っているものの、ダイニング・テーブルにパソコンを持ち出して文章を書き始めたりする。「僕は家のなかをしょっちゅう歩いていて、絶対に部屋に閉じこもらないんだ」。

 ところで、アメリカの都会生活から一転、古きパリの下町での暮らしをジョンはどう感じているのだろう。

 「フランスの学校は休みが多いし、家で仕事をする僕にとっては金曜が月曜で、月曜日が金曜みたい。週末は朝昼晩と3度の食事の準備に忙しくて。月曜になったら、パーッと気分も晴れるよ」というダディぶりも微笑ましい。



ジョン・ヴォン=ソテンさん ジョン・ヴォン=ソテンさん/
John Von Sothen

TEXT:中平美紀 PHOTOS:Jacques Pepion
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