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  ■音楽の贈り物
音楽の贈り物 text:Akira Asaba photo:Satoru Seki

第41回

恋に疲れた女の人に
ヴィクトリア・トルストイを

西山瞳  今年7月、西山瞳さんは伝統あるストックホルム・ジャズ・フェスティバルに出演した。自作曲中心のステージは好評を得て、終了後のサイン会には大勢の人が集まり、日本から持参したCDもたくさん売れたという。
「演奏中に“あっ、お客さんいまこっち来てる”って感触がありました。CD出す前はお客さんも入らないし、演奏する場所もないし、でも続けてやってきて、大きい舞台に出させてもらって、海外の人に伝わったってことはすごく自信になりました」
  最新アルバム『Many Seasons』は前作と同様、ドラムスにアンダーシュ・シェルベリ、ベースにハンス・バッケンロスというスウェーデンの名手を迎え、ストックホルムで録音された。オープニングの「Flood」は5拍子で疾走する難曲だが、「2回目なので、音もお互いイメージできました」という緊密な演奏からは自然と躍動感がわきあがる。
  自主製作アルバム『I’m Missing You』のときから西山さんの際立つ個性といえば、イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィから大きな影響を受けたメロディアスな作風。新作でも優美なワルツの「SAKIRA」や漂うように音が移ろう「Before Night Falls」などで持ち味を存分に発揮している。
  もっとも、コンポーザーとして同じ場所に留まろうとはしない。
「いつも前とは違う曲をつくろうとしています。前回はテーマのコード進行でアドリブを繰り返すジャズのフォーマットを踏襲しましたが、今回はテーマから全然違うアドリブのパートに移り、次にブリッジがあるという、構成のかっちりした曲も収めています」
  クラシックのハーモニーを意識してつくった「Loudvik」は自信作だ。
「テンション・ノートが多く、飛び石状態で進むジャズと違い、クラシックは水が流れるように進むんです。この曲は7拍子っていうジャズで使う拍子と、クラシックの進行がうまいことシンクロしたと思っています」
  贈り物にしたい1曲として選んだのはヴィクトリア・トルストイの「Love Is Real」だ。
「恋に疲れた女の人に。英語の歌で感動することってあんまりないじゃないですか。これはほんまに感動しましたね。恋に疲れたときはきっとみんな泣くと思います。私もたまに聴いて酔うときあります(笑)」
   
 
Gift of a Tune
すてきな音楽は誰かに教えたくなるもの。メロディアスなジャズをつくりだす西山瞳さんが贈り物にしたいほど大好きな音楽を紹介してくれました。
VIKTORIA TOLSTOY
『SHINING ON YOU』
スウェーデン出身のシンガーがジャズ寄りの現代的な楽曲を歌う04年作。
   
 
西山瞳
1979年11月17日、長崎県に生まれ、大阪府で育つ。6歳からクラシック・ピアノを学ぶ。04年、『Iユm Missing You』をリリース。05年、「横濱ジャズプロムナード2005」のジャズ・コンペティションでグランプリ受賞。06年、メジャー第1作『CUBIUM』をリリース。
西山瞳
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