牛を飼って、乳を搾って
“我が家のチーズ”を手作りする

「好きが高じる」とは、こういうことを言うのでしょう。子どもの頃から牛乳好きだった河内賢一さんは帯広畜産大学を卒業後、酪農ヘルパー(酪農家が休みを取る日に搾乳や餌やりなどを代行する)として働きつつ、2005年、厚木市の住宅街に乳製品を製造販売するBoccaをオープン。2009年には店から近い空き地を借りて、牧場を始めました。現在、ジャージー牛4頭、羊13頭、山羊2頭を飼育しています。 「自分で飼って、自分で乳を搾って、自分で飲んだり食べたりしたかったのです。店でも酪農家がふだん食べているような手作りの乳製品を売っています」(河内さん) たとえば、住所の王子に由来する「プリンス」という商品名のチーズは長期熟成のハードタイプで、少量をかじっただけでも口の中にコクのある味わいが広がります。どこか素朴さを感じるのも手作りだからでしょう。河内さんにとっては、各家庭の漬け物にも似た、“我が家のチーズ”です。 「チーズを手作りする面白さは、ときおり、特別においしく感じるものができることです。同じように作っていても味には違いが出ますから、自分の好みに合ったものをみつける楽しみもありますよ」 Boccaでは試食のうえ、チーズを選ぶことができます。まさに生産者の顔が見える少量生産の価値あるチーズを求めて、訪ねてみませんか?

「小規模の酪農でも成立することを証明したい」と、河内さん。 都市部では難しい乳製品の地産地消を目指すチャレンジャーです。

3年程度寝かせて熟成のピークに達したハードタイプのチーズは深いコクがあります。

実家を改装して、店舗と乳製品の加工場を設けました。

牛舎ではなく、柵の中で放し飼いにしているので、のびのびと育っています。

羊の乳でもハードタイプのチーズを作っています。

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